2016年4月、信任状捧呈式での上月豊久駐露大使(左)とプーチン露大統領(右)(C)時事

 2015年以来駐ロシア大使を務めている上月豊久大使(65歳/1981年外務省入省)がこの秋交代との情報が流れている。モスクワでの7年もの大使職は、戦後最長だ。

 外務省内では、後任候補としてロシアスクールの武藤顕ロサンゼルス総領事(62歳/1985年入省)や宇山秀樹前欧州局長(59歳/1988年入省)らの名が挙がっている。しかし、誰が大使になっても、日露関係はロシアのウクライナ侵攻で双方が「制裁合戦」を展開する冬の時代。ロシアは日本を「非友好国」と認定し、倍返しで報復制裁を行っており、新大使には厳しい任務が待ち受ける。

 上月氏は自他ともに認める外務省ロシアスクールのエースだった。ロシア課長時代の2003年、小泉純一郎首相とウラジーミル・プーチン大統領が調印した日露行動計画を手掛けた。2013年には安倍晋三首相の最初の訪露に欧州局長として同行し、日露首脳共同声明を準備した。

 日露平和条約締結を悲願とする安倍晋三首相の下、クリミア併合翌年の2015年、満を持して駐露大使に抜擢された。しかし、期待とは裏腹に、安倍・プーチン交渉は失速し、上月大使も成果はなかった。

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