年間24億円の維持費を担える民間運営事業者は見つかるのか[国立競技場=7月9日](C)AFP=時事

 国際陸上競技連盟(世界陸連)は7月14日、米オレゴン州で開いた理事会で、2025年世界陸上競技選手権大会の東京開催を決めた。オリンピックとは一見つながりのないこのニュースは、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の「負のレガシー」である経費膨張の第二幕が開いたことを示す。

国立競技場の“使い捨て”

 2025年世界陸上は国立競技場が会場だ。だが、国立競技場にはそれまで、世界陸上の会場となる資格がなかったことはあまり知られていない。練習用のサブトラック設置という、世界陸連が公式記録を認定する必須条件を満たさなかったからだ。

 2020年東京五輪でも世界新記録が出たのは、大会中、国立競技場近くの神宮外苑内に仮設のサブトラックが設置されたことによるが、この仮設サブトラックは五輪終了後に撤去された。地権者の明治神宮が三井不動産などと一帯を再開発するためだ。

 公式記録が認められない陸上競技施設では使い物にならない。つまり、1964年東京五輪の会場として文字通り「レガシー」だった旧国立競技場を取り壊し、1500億円余りを投じて建設した国立競技場は、ある意味ではオリンピック1回限りの“使い捨て”だった。国立競技場にはこの先、大規模改修費1000億円も見積もられている。政府は五輪後、国立競技場からトラックを撤去し、ラグビーとサッカーの球技専用場として運営を民間に委ね、年間約24億円の維持費を賄う計画だったのだ。

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