国民は節電をする。政府は現実的な電力供給を急げ
2022年8月22日

冬の電力逼迫を回避するために(C)show999/stock.adobe.com
私はアマゾンで買い物をするという経験を未だにしたことがない。講演に行くと決まって「アマゾンで買い物をしたことがない人はいますか?」という質問をするのだが、数年前まではご年配の方を中心に挙がっていた手が、ここ1~2年はまったく挙がらない。
私が「日本のマイナンバーカードが普及しない理由の上位に“情報漏洩が心配だから”というのがある。日本政府は信じられないのに、アマゾンというアメリカの企業は信じられるのですか? かなりの個人情報がアマゾンにわたっていますよ」と言うと、皆様ニヤニヤされる。便利なものはどんどん使われ、便利でないものは廃れていく。デジタルの世界の掟だ。
その便利なデジタルの世界は、電気がいつでも使えることを前提に成り立っている。
もしも電気が止まったら?
2011年の東日本大震災のあと全国の原発が稼働を停止し、毎年暑さや寒さが厳しい時期を迎えると、電力不足から節電が行われるようになった。今のところ2018年に起きた北海道胆振東部地震を除けば、大規模な停電によって経済活動がストップするような事態は起きていない。比較的、電力供給の安定は保たれ、時間を掛けてエネルギー構造を転換して行けば良い――そう思われていた。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。