憲法審査会――再び試練を迎える「与野党合意」の理念
2022年11月9日
衆院憲法審査会(以下、憲法審)は10月27日、今国会初の実質的審議を行い、再び改憲に向けた議論が始まった。もともと憲法審は、政争に左右されず静かに改憲論議をする場として設けられたはずだが、近年は主に野党側が開催を拒否するなどして「抵抗の舞台」として利用するケースが多かった。
現行憲法は11月3日で公布から76年を迎えたが、今まで一度も改正されたことはない。「自民党総裁任期中の改憲」を掲げて政権の座についた岸田文雄首相は公約を実現できるだろうか。
憲法審の顔ぶれ
憲法審は、憲法改正に必要な国民投票について規定する国民投票法が2007年に成立したことを受け、同年に衆参両院に設置された。衆院のホームページでは、憲法審の目的を「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する」と定義している。
委員の枠は国会の常設委員会と同じく各会派の所属人数の割合に比例して配分されており、衆院では50人の定数のうち自民が28人を占める。参院では45人の定数のうち自民が22人を占める。
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