四月二十九日、インドネシア・パプア州の州都ジャヤプラで陸軍兵士約一千人が弾薬庫から武器弾薬を奪取して上官の官舎を急襲。上官数人が頭部に重軽傷を負う事件が起きた。付近にいた住民や報道関係者にも負傷者がでる騒ぎとなり、国軍司令部幹部が現地に急派され、事態の沈静化を図った。 だが、事件後の調査の結果、「病死した同僚兵士の遺体の扱いを巡る兵士らと上官の意見の違い」や「部隊予算の欠乏」が原因だったことがわかり、国軍の士気低下が露呈した。 現地の報道などによると、病死した兵士の遺体を遠隔地で山間部の同州内の故郷に搬送するには多額の費用がかかり、部隊経費で賄えないことから、遺体は五日間も部隊に放置された。これに怒った同じ部隊の兵士が上官を襲撃したのだという。 インドネシア国軍は、一九九八年のスハルト長期独裁政権の崩壊後、四軍体制から警察が分離して規模を縮小され、また、給与の不足分を補う副業が制限されて生活も厳しくなった。加えて、アチェや東ティモールなどで地元住民を弾圧した過去が人権侵害として訴追されるなど、“不遇”が続いている。 二〇〇二年には北スマトラ州ランカット県ビンジャイで麻薬に手を染めた兵士の扱いを巡って、陸軍部隊と警察が対立、激しい銃撃戦で十一人が死亡した。

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