原油など膨大な地下資源が眠ると見られる北極圏への注目が集まる中、ロシアはこのほど、北極圏の自国領土防衛を名目に「北極軍部隊」を設立することを決定した。 新たな部隊の設立は、昨年九月の同国安全保障会議で採択された「二〇二〇年までのロシア連邦の北極圏政策原則」に基づいたもので、モスクワの西側外交筋によれば、これは北極圏でのロシアの経済的、政治的権益確保を狙う国家戦略の一環だという。 同筋がロシア軍高官から得た情報では、ロシアは当面、北極圏のロシア領のパトロールに当たる沿岸警備隊を新たに設置し、さらに国境警備隊を強化する構え。それらを統合する形で二〇二〇年までに本格的な「北極軍部隊」を創設することを計画している。北極圏に基地を新設する案も検討されているという。北極軍部隊は連邦保安局(FSB)の支配下に置かれるとの見方が有力だ。 ロシアは北極海中央部のロモノソフ海嶺とその周辺の百二十万平方キロがシベリア大陸棚の延長であるなどと主張、同地域に眠るとされる資源獲得に向け積極的な動きを展開。〇七年に深海潜水艇「ミール」で北極点の海底を史上初めて探査し、同国国旗を打ち立てている。伝統的に自国経済を資源確保に頼ってきたロシアらしいすばやい動きで、北極軍部隊の創設もその“本能”に根ざしたものだ。

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