国際テロ組織アル・カエダのイエメン・グループが急速に勢力を拡大しており、隣国サウジアラビアにも脅威を及ぼす可能性がある。 アル・カエダ対策に力を入れてきたサウジアラビア内務省当局によれば、このグループは「アラビア半島のアル・カエダ」と呼ばれ、今年に入ってからイエメン国内のイスラム過激派やサウジアラビアから逃亡してきたアル・カエダ系グループを統合し、組織化を図っている。 中心人物は、二〇〇六年にイエメンの首都サヌアにある政治犯を収容する刑務所から脱走したナシル・ワハイシ容疑者。同容疑者はアル・カエダの最高指導者オサマ・ビンラディンともつながりがあり、サウジアラビア当局は以前から欧米の治安当局にその動きに注意を払うよう呼び掛けてきた。 ワハイシ容疑者らは最近、インターネット上のビデオを通じ、イエメンとサウジアラビアへの攻撃を堂々と予告しており、「〇一年の9.11テロ以来最大の事件を引き起こす恐れがある」(サウジアラビア内務省筋)という。 ワシントンの情報機関筋によれば、「アラビア半島のアル・カエダ」については米政府当局も情報を入手しており、最も懸念しているのは、同グループが最近、ソマリアの海賊とも協力関係を築く動きを見せていることだという。

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