今、共和党は70年前のアイゼンハワー政権と同じ岐路に立たされている[11月8日、フロリダでの投票を終えた直後のトランプ前大統領]  (c)AFP=時事

 2022年のアメリカ中間選挙が終わった。中間選挙においては政権与党が敗北するということがよく指摘されるが、今回の選挙結果には完全には当てはまらなかった。

 共和党は思ったほど議席を伸ばせず、連邦下院では僅差で多数党に返り咲いたものの、 連邦上院では民主党が多数党維持に成功している。注目されていた連邦上院のスウィング・ステーツのうち、アリゾナ、ペンシルベニア、ネヴァダを民主党が制し、州知事選挙でも民主党が善戦した。

 多くのメディアが、ドナルド・トランプ前大統領がお墨付きを与えた候補者が落選したことや、トランプのライバルと目されている、フロリダ州のロン・デサンティス知事が大差で再選されたことなどをこぞって取り上げている。トランプは、むしろ共和党に害を与えているのではないか――このような声も大きくなってきている。

ジョージア州、上院決選選挙が「トランプの終わり」?

 2021年1月のジョージア連邦上院決戦選挙で共和党候補が敗北した時点において、共和党系の著名な政治コンサルタントであるカール・ローヴなどは、トランプが「選挙が盗まれた」という主張を前面に押し出して選挙戦を進めることが、かえって共和党支持者を投票所から遠のかせているのではないかと指摘していた。つまり、「選挙が操作されているなら、行っても無駄だ」という心理効果が働いたのではないか、というわけである。今回の選挙も、トランプが選挙の不正を声高に主張し続けることが、かえってマイナスに作用したのではないかとみる向きは少なくない。

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