インドで活発化するLGBT議論

執筆者:緒方麻也2022年12月12日
最高裁が同性婚に関する申し立てを受理したことを受け、ニューデリーではLGBTのパレードが行われた=撮影11月24日(C)AFP=時事
 

 2022年11月、ゲイのカップルが最高裁に対し「1954年特殊婚姻法」に基づく同性婚を認めるよう申し立てを行い、受理された。同性の婚姻について定めた法的枠組みがない中、LGBTの人々が自身の選んだ相手と結婚したいという根源的な自由を求めた問題提起として注目されている。

 今後最高裁は、連邦政府の見解を質すとともに申し立ての是非を審理することになる。これ自体かなり画期的な判断と言えるが、近年世界的に注目されているLGBT問題の動向を踏まえた動きとみていいだろう。

 宗教や民族が複雑に絡み合い、とかく保守的と思われてきたインド社会だが、いわゆるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、そしてトランスジェンダー)など性的マイノリティの権利保護・拡大に関する論議はここ数年、徐々に活発化している。

 なお、こうした人々については、「性的指向」と「性自認」の点からさらにQ(クエスチョニング=自身の性的指向等がわからない、定まっていない人)、I(インターセックス=男女両方の身体的特徴を持つ人)、A(アセクシュアル=誰に対しても恋愛感情や性的欲求を抱かない人)なども含めてLGBTQIAと称されることもあるが、ここでは性的マイノリティについてLGBTと表記する。

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