中国(手前)と北朝鮮(向こう岸)の国境を流れる図們江に架かる橋。だが脱北者たちは、川を歩いて渡る (C)AFP=時事

 11月中旬、韓国の北朝鮮専門ネットメディア『デイリーNK』は、北朝鮮と接する中国遼寧省丹東市だけで8万人もの北朝鮮人労働者が確認された、と報じた。中国当局が新型コロナウイルス対策のために全住民のPCR検査を行った際に発覚し、当局者もその多さに当惑したという。

 国連は2019年、海外にいる北朝鮮労働者を約10万人と推計しているが、実際はさらに多い可能性がある。この報道が事実であれば、中朝の経済的、人的な結びつきが想像以上に(中国の地元当局者も当惑するほどに)密接であることを示している。

 新たに確認された北朝鮮人労働者は、非正規に中国に渡った脱北者とみて間違いない。だが中国に逃れた脱北者はその後、どのように韓国などを目指すのか。中国当局に逮捕されたブローカー組織の裁判資料からは、複数のブローカーがリレー方式で脱北者を引き継ぎながら、中国を南北に縦断するように移動させている実態が明らかになる。脱北者は最終的にタイやベトナムで難民申請して韓国に向かうのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。