中国版TikTokとも呼ばれるSNS「抖音(Douyin)」に投稿された「首を鎖でつながれた8人の子どもの母」

 中国共産党と中国政府が毎年初めに発表する「1号文書」に今年、こんな表現があった。「高額な彩礼(結納金)や冠婚葬祭を派手に行うことなど重点領域の問題を特に管理する」――。1号文書のテーマは2004年以来、20年連続で三農(農業、農村、農民)問題であり、共産党政権が食料確保を重視していることが伝わる。ではなぜ「三農」の文脈で高額な結納金に言及しているのか。

年収の何倍にも相当する結納金

 1号文書での結納金への言及は過去にもあったが、2021年からは3年連続となる。背景にあるのは中国で急速に進む少子化だ。少子化の原因は多岐にわたるが、高額な結納金を贈る習慣が農村での結婚難の一因であり、それが少子化に拍車をかけているという認識も広まっている。

 中国では近年、結納金の高騰が著しく、社会の関心は高い。中国のネットメディア「頭条」によると、湖南省や山東省などでは結納金の平均が10万元(約200万円)を超え、福建省と浙江省では20万元以上という。国家統計局によれば、2022年の農村での1人あたり年間可処分所得は2万元をわずかに上回る。先進国並みの物価水準である北京や上海などならともかく、農村の男性にとって年収の何倍にも相当する結納金は大きな負担となる。

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