「数字」で見るロシア・ウクライナ戦争1年

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部2023年2月24日
1年で多くのものが失われた(C)Anton27/stock.adobe.com

 

 今週もお疲れ様でした。ロシアによるウクライナ侵攻から1年、欧米メディアはこの戦争の1年をさまざまに論じていますが、その中からフォーリン・ポリシー誌の「ロシア・ウクライナ戦争の成績表」をご紹介します。ロシアがウクライナから奪った領土の割合、殺害したウクライナ市民の数、失われたウクライナのGDPなど、客観的な数字から戦争を振り返ります。フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事5本、皆様もよろしければご一緒に。

A Report Card on the War in Ukraine【Graham Allison/Foreign Policy/2月23日付】

Russia-Ukraine Report Card【Graham Allison、Kate Davidson/Harvard Kennedy School Belfer Center for Science and International Affairs/2月23日付】

「今となってはロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナでの戦争が重大な戦略的誤りであったことは明らかだ。[中略]しかし、プーチンの戦争が地政学的な舞台においてロシアを弱体化させたとしても、ロシアが地上においてウクライナの深刻な弱体化に成功した事実を見過ごすわけにはいかない」
「領土の得失、戦闘員と民間人の死亡、インフラの破壊、経済的影響といった主要な指標を評価すると、厳然たる事実を無視することは難しくなる。[中略]戦場レベルにおいて、覚えるべき数字が3つあるとすると、それは5分の1、3分の1、そして40%だ」
「2022年2月24日にウクライナに侵攻して以来、ロシア軍はウクライナの領土の11パーセントを追加で占領した。2014年のクリミア併合で奪った土地と合わせると、ロシアは現在、ウクライナの国土の5分の1近くを支配していることになる。ウクライナ経済は壊滅的な打撃を受け、GDPは3分の1以上、減少した。ウクライナは現在、毎週届けられる兵器や弾薬のみならず、兵士や公務員、年金受給者に毎月支払う資金も米国と西欧諸国に依存している。ウクライナのエネルギーインフラの40%は破壊されるか占領されている」

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1年を迎えるにあたり、西側のメディアもこの戦争を取り上げる企画を増やしている。ロシアやウクライナにどう対処すべきかという“べき論”が多いなか、目を惹かれたのは米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌に2月23日付で登場した「ウクライナ戦争の成績表」だ。

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