欧州防衛産業の空洞化と「米国頼み」

Foresight World Watcher's 4Tips

執筆者:フォーサイト編集部2023年3月10日
ウクライナの東部戦線で使用された155ミリ砲弾。エストニアは欧州による共同購入を提案している(C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。今週はAUKUSの枠組で連携強化が進む米英豪の首脳会議が3月13日に開かれるのを前に「欧州の安全保障」に注目しました。AUKUSによってオーストラリアとの原子力潜水艦共同開発が破棄されたフランス・マクロン政権、米国依存が浮き彫りになる欧州の安全保障の課題など、フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事4本、皆様もよろしければご一緒に。

Emmanuel Macron's vision of a more muscular Europe is coming true【Economist/3月8日付】

 ロシアによるウクライナ侵攻によって欧州の防衛は大きく変わったとされる。ドイツは防衛政策を刷新して軍備強化に踏み出し、フィンランドとスウェーデンは中立政策を見直しNATO[北大西洋条約機構]加盟を目指すようになった。ポーランドやバルト3国は、GDPの2%というNATOの目標を超える防衛費を支出している。

 では、フランスはどうか。この問いへの答えの一端に触れられるのが、英「エコノミスト」による「より筋肉質な欧州というエマニュエル・マクロンの目論見が実現しつつある」(パリ発3月8日付)だ。フランスがEU(欧州連合)において唯一、国連安全保障理事会の常任理事国にして核保有国であること、在外公館数が中国(275)、米国(267)に次ぐ264であることなどを確認した上で、記事は指摘する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。