改正議論に前向きな姿勢を示していた泉代表だったが……(C)時事

 

 衆院憲法審査会(憲法審)が3月2日、今国会で初めて開かれ、今年の憲法議論が動き出した。

 昨年の通常国会では、衆院で予算案が審議されていた最中の2月10日に衆院憲法審が開かれたが、今年は初開催が遅れた。自民党や日本維新の会が今年も2月中の開催を求めたのに対し、立憲民主党が「2023年度予算案の審議中は難しい」と難色を示したためだ。立憲は2月28日に予算案が衆院通過したことから開催を認めたが、改憲に向けた態度が後ろ向きに転じたことが窺える。

 緊急時に国会議員の任期延長を可能にする緊急事態条項の新設に向けて足並みが揃いつつある自民、公明、維新、国民民主の改憲勢力と、慎重な姿勢を崩さない立憲や共産との隔たりはなお大きい。

 改憲勢力は条文案作りに前向き 

「憲法改正の本体議論について、これまで積み上げたものをベースに、残った論点をさらに具体的に深掘りする」

 3月2日の憲法審では、与党筆頭幹事を務める自民の新藤義孝元総務相がこう強調した。昨秋の臨時国会では、緊急事態条項に関して、憲法審として久々の成果物となる「論点整理」の策定にこぎつけた。今年は残る論点として「緊急政令や緊急財政処分の規定について議論が必要だ」と指摘し、国会議員の任期延長にとどまらず、幅広く課題を議論する考えを示した。自民が「改憲4項目」の中心に据える9条への自衛隊明記にも意欲を示した。

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