スタート直後から政治的危機に見舞われた李政権だが、「経済挙国主義」が追い風に。二年目に突入した政権の課題とは――。[ソウル発]一年前の今ごろ、ソウルの都心は大規模な“反政府ロウソク・デモ”で埋まり、デモと機動隊との衝突が繰り返されていた。スタート直後の李明博政権は新しい政策の展開もできないまま、デモへの対応に追われた。想定外の政治的危機に見舞われ右往左往した。 反政府デモの背景は米国産牛肉輸入をめぐる“狂牛病騒ぎ”だった。「米国産牛肉を食べると人間狂牛病にかかる!」といわんばかりのテレビの反政府的な虚偽報道をきっかけに、左派など旧政権勢力が街頭闘争で巻き返しに出たのだ。 この狂牛病騒ぎと反政府デモで、政権スタート時には六〇%近くもあった李明博大統領の支持率は、たちまち二〇%前後にまで急落した。現在は三〇%台に回復してはいるが、これを下回ると安定的な国政運営ができないとされる「魔の四〇%」を、依然、下回ったままである。 四月末、国会議員の補欠選挙があった。全国で五カ所の選挙だったが、与党ハンナラ党は全敗した。ハンナラ党は国会で依然、単独過半数を占めているものの、李明博政権としては気になる敗北だ。

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