台湾の「残存性」「強靭性」を高める支援も必要だ[対空砲を配備する台湾軍兵士=2022年8月18日、台湾東部・花蓮県](C)EPA=時事

考えるべき “What if?”(承前)

 台湾が中国に併合された時に米国がどう対応するかは、分からない。米政府内には、日本への前方展開兵力を増強するという見方がある一方で、逆に、ハワイ-グアムのラインまで撤退する可能性も否定はできないだろう。その時の米国の政権次第という側面もある。最悪の場合、日本は、第一列島線を越えて西太平洋に拡大する中国の影響圏の中に飲み込まれてしまい、「赤い海に浮かぶ民主主義の孤島」となりかねない。もし、米国に頼らずに中国の脅威に対抗しようとすれば、防衛予算は対国民総生産(GDP)比2 %どころでは済まないだろう。核武装論も当然、勢いを増す。

 そのように考えていけば、日本が追求すべき戦略目標は、中台間の軍事紛争の抑止、阻止にとどまらず、中国による台湾の「併合」の阻止としなければならないことが分かる。

 もちろん台湾が自ら進んで大陸との統一を選択するのであれば、日本としてそれを阻止することはできない。ただ、台湾の民衆が、中国の圧力を受けて、事実上の独立という現状の維持を諦めてしまうような事態は防止することができるし、しなければならない。

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