ヒッタイト帝国の首都ハットゥシャの古代遺跡  (C)Reuters

[ワシントン発(ロイター)] 紀元前1200年頃、中東や地中海東部の主要な帝国がほぼ同時に崩壊あるいは弱体化し、人類文明が大きく後退する出来事があった。「青銅時代の崩壊」と呼ばれる。

   消えた文明の中でも勢力を振るっていたのは、現在のトルコやシリアとイラクの一部に位置していたヒッタイト帝国だ。2月8日、ヒッタイト帝国の崩壊に関する新しい知見が学術誌「ネイチャー」に発表された。当時生えていた木の年輪を調べたところ、3年連続で大干魃が起きていたことが分かった。これが農作物の不作、飢饉、政治的・社会的な崩壊を引き起こした可能性がある。

 ヒッタイト帝国はアナトリア半島中部に首都ハットゥシャを置き、500年の間、古代世界で最も権力のある勢力の一つだった。古代エジプトが最も繁栄していたエジプト新王国の時代には、強力な政治的・地理的ライバルとなった。

   研究論文の筆頭著者である米コーネル大学の考古学教授スタート・マニング氏は、「現代のインフラやテクノロジーが全くない近代以前の時代に、ヒッタイト帝国は地理的脅威、周辺の勢力や帝国に吸収した集団からの脅威、半乾燥地域の気候といった困難にもかかわらず、何百年にもわたって広大な地域を支配し続けました」と言う。

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