二〇〇八年二月に東芝がHD-DVD事業撤退を発表したことで、次世代DVD規格はソニーやパナソニックが率いるブルーレイディスク(BD)に一本化され、両者の争いに終止符が打たれたことは記憶に新しい。だが、最近、BDの牙城を崩しかねない規格が中国から誕生した。 その規格は「CBHD(China Blue High Definition)」といい、東芝が推進したHD-DVD規格と類似した技術で、中国政府の支援により研究機関などが開発した中国独自の次世代DVD規格だ。中国メーカーはこれまで、DVD機器製造にあたり、日米欧企業に支払う高額の特許料に悩まされてきただけに、CBHDに期待を寄せる。 四月下旬には、国内家電メーカー大手のTCL集団と新科電子集団の二社が、初のCBHDのDVDプレーヤーを発売した。さらに、TCLは年末までに製品を六モデルまで増やすとしており、CBHDは二〇一一年までに中国国内だけで約七千万台売れるとの見通しもある。二社に続き、清華同方も近く同規格のプレーヤーを発売、中国メーカーが続々参入する見込みだ。 CBHDの大きな強みは、破格の値段設定だ。BDのプレーヤーの価格は約五千元(約七万円)、ディスクは一枚約百七十―二百五十元であるのに対し、今回発表されたTCLと新科電子のプレーヤーは共に約二千元。ディスクは約五十五元と、いずれもBDの半値以下だ。

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