政治力学で右往左往する航空業界の再編プラン

執筆者:八ツ井琢磨2009年6月号

 中国の三大航空会社である中国南方航空(広州市)、中国国際航空(北京市)、中国東方航空(上海市)が四月半ばに発表した二〇〇八年決算で大幅な赤字に転落した。純損失は最大手(旅客数ベース)の南方航空で四十八億元(約六百八十億円)、国際航空が九十三億元(約千三百五十億円)。最も損失が大きかった東方航空の赤字額は百五十二億元(約二千百五十億円)で、日本航空の六百三十一億円(〇九年三月期)の三倍以上だ。 巨額赤字の原因の一つは燃料関連のデリバティブ(金融派生商品)取引の失敗。原油高騰への対応策として結んだ契約が、〇八年半ば以降の原油価格急落で仇となった格好だ。国際航空は、資本関係にある香港キャセイパシフィック航空の赤字も響いた。 今年第1四半期の決算では三社とも利益を確保したが、新型インフルエンザ拡大で旅客需要が急減する可能性もあり、先行きは不透明だ。 三社の中で経営状態が最も深刻なのが東方航空。〇八年末で総負債が総資産を一七%上回る債務超過に陥っている。政府から七十億元の資本支援を得たものの、抜本的な財務改善には程遠く、追加的な支援がなければ立ち行かない状況にある。 そこで再燃するのが東方航空絡みの業界再編の憶測。特に、国際航空の国有親会社で東方航空にも約四%出資している中国航空集団に注目が集まる。

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