盧沙野大使は戦狼外交の使い手として知られる人物 (C)REUTERS/Benoit Tessier

[北京発(ロイター)]中国の盧沙野(ろ・さや)駐仏大使(58)がウクライナをはじめとする旧ソ連諸国の主権に疑問を呈した問題は、中国政府が大使の発言を否定して関係諸国の主権を認めると表明した後も欧州で波紋を呼んでいる。

 中国の攻撃的な「戦狼外交」の使い手として知られる盧沙野大使は、2019年にパリに着任して以来、何度も問題発言を行ってきた。その中で最も物議を醸したのが今回の発言である。

 以下は、その問題発言をまとめたものだ。

——盧大使は4月21日、フランスのテレビ局のインタビューで、旧ソ連諸国は「国際法上、有効な地位を持たない。主権国家としての地位を認める国際的な合意がないからだ」と発言した。駐仏中国大使館の公式WeChatアカウントに掲載された大使の発言はその後削除されたが、これに関して大使館は取材に応じなかった。

 発言はたちまち関係各国などの非難を浴びた。大使の発言について問われた中国外務省の毛寧報道官は、「中国政府は1991年に解体された旧ソ連諸国の主権を尊重する」と発言。だが、中国は盟友ロシアがウクライナに仕掛けた戦争の平和的解決のために主権を尊重するよう呼びかけていただけに、大使の発言は中国政府の姿勢に疑問を投げかけることになった。

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