昨年5月12日に開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第8回政治局会議の様子。金正恩総書記(中央)も直前までマスクを着用していた(『労働新聞』HPより)
 

 全体としては田植えに関する記事が多く、26日付には第1面の全面に「農村党員」と題する「政論」(署名入りの政治論評)が掲載されたが、報道ぶりで大きく変化したのは新型コロナウイルス関連である。5月5日にWHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を終了すると発表して以降、『労働新聞』では関連報道の掲載が大幅に縮小された。

 北朝鮮はこの解除宣言に直接触れていないが、3年以上にわたり一貫してWHOの発表を重視してきたと言える。国際記事が多い最終面(第6面)下段で常設コーナーが設けられ、世界における感染者数・死者数が発表されてきたが、5月21日から25日は関連報道が皆無となった。26日付は「世界保健機関、新型コロナウイルス感染状況を通報」と題する囲み記事で「世界で7億6689万5075人が新型コロナウイルスに感染し、693万5889人が死亡した」といったWHOの発表値を論評抜きで伝えた。従来に比べると、5分の1ほどのスペースで小さく扱ったに過ぎない。27日付、28日付では再び関連報道が見当たらず、北朝鮮もようやく本格的にウィズコロナへと移行することが示唆された。

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