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【前回まで】防衛費増額の財源を国債で賄うことは是か非か? 宮城教授の自主ゼミで、財務省主税局の土岐は学生たちに問いかけた。容認派、否定派、学生たちの答えはさまざまだった。

 

Episode3 リヴァイアサン

 

2 (承前)

「私、難しいことは分かりませんけど、国債ではなく、増税するべきだと思います」

 ショートカットの、よく日に焼けた女子学生の佐橋[さはし]めぐが発言した。

「どうして、そう考えるの?」

「税金を払うのって、国にしかできないサービスを受けるためだと思うんです。自分の国が攻撃される時に、国に護ってもらうのも、サービスのひとつじゃないですか」

「じゃあ、トッキー。そろそろ財政のプロとしてのレクをよろしく」

 宮城に話を振られて、土岐はホンネで語ることにした。

「まず、みんなの議論で残念だったのは、そもそも赤字国債って、法律で禁じられているという指摘が出なかったことです」

 財政法第4条には「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とある。

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