連載小説 オペレーションF[フォース] 第19回
2023年7月1日

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【前回まで】防衛費増額の財源を国債で賄うことは是か非か? 宮城教授の自主ゼミで、財務省主税局の土岐は学生たちに問いかけた。容認派、否定派、学生たちの答えはさまざまだった。
Episode3 リヴァイアサン
2 (承前)
「私、難しいことは分かりませんけど、国債ではなく、増税するべきだと思います」
ショートカットの、よく日に焼けた女子学生の佐橋[さはし]めぐが発言した。
「どうして、そう考えるの?」
「税金を払うのって、国にしかできないサービスを受けるためだと思うんです。自分の国が攻撃される時に、国に護ってもらうのも、サービスのひとつじゃないですか」
「じゃあ、トッキー。そろそろ財政のプロとしてのレクをよろしく」
宮城に話を振られて、土岐はホンネで語ることにした。
「まず、みんなの議論で残念だったのは、そもそも赤字国債って、法律で禁じられているという指摘が出なかったことです」
財政法第4条には「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とある。
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