腐敗大統領カルザイはなぜ「再選確実」なのか

執筆者:ジーン・マッケンジー2009年7月号

「元首としての能力」は、オバマ米大統領に公然と批判されるほど低いカルザイ。だが、代わり得る人物が見つからない……。[カブール発]八月二十日に予定される大統領選挙で誰に投票するかを街で尋ねたら、アフガニスタンの人は口々にありとあらゆる名前を挙げるだろう。でも、おそらくこの名前は挙がらない。ハミド・カルザイ――再選を目指す現職大統領だ。 しかし、誰が選ばれると思うかと問えば、その答はきれいに一致する。ハミド・カルザイ(五一)だ。 他に選択肢がないわけではない。カルザイの対立候補としては、アシュラフ・ガーニ・アハマドザイ元財務相(五九)、アブドゥラ・アブドゥラ前外相(四八)、ラマザン・バシャルドスト元計画相(四三)を含め、四十三人が登録を済ませている。なかには、自称「天才」や「王子」、元タリバンのロケット発射手・通称「ロケッティ」の他、女性候補二人も含まれている。実に多彩な顔ぶれなのだ。 しかし、カルザイと、事実上唯一の対立候補といって良いガーニの二人を除いては、候補者たちが人々の関心を惹くことはない。というのも、有権者の大半も国際社会も、カルザイの再選はほぼ確実と見ているからだ。 それにしても、国民の大半が忌み嫌っていると言われる現職大統領が、なぜ最有力候補なのだろうか? この不思議な現象を理解するためには、外国の人々が楽観的な思いを込めて「若い民主主義」と呼ぶアフガニスタン政治の本質を深く見極めなければならない。

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