新型インフルエンザ「第二波」に備えよ

執筆者:堀口晴正2009年7月号

ついにパンデミックが宣言された。南半球で感染が爆発的に広がる中、日本には「終息」の雰囲気が漂い始めている。だが、楽観は禁物だ。「マーガレットは悩んでいた。感染の広がりからいえば、五月下旬にはパンデミック(世界的大流行)に相当する状態になっていたが、それを宣言できずにいたからだ」 WHO(世界保健機関)の関係者はそう打ち明ける。マーガレット・チャン事務局長が、新型インフルエンザ(H1N1型)の警戒レベルを最も高い「フェーズ6」に引き上げ「パンデミック」期に入ったと宣言したのは、六月十一日になってからだった。「感染が広がった北半球の先進国から、経済再建にブレーキをかけかねないパンデミック宣言を少しでも遅らせるよう“圧力”がかけられた。先進国に予算の多くを依存するWHOは、『フェーズ6』を宣言する前に『フェーズ6に限りなく近い』と繰り返すことで、軟着陸を余儀なくされた」(同) 六月十二日時点の感染者数は七十四カ国で計三万人に迫り、死者は百四十五人を数えた。だが、我々が経験しつつあるのは、ごく初期のパンデミックにすぎない。WHOは世界中で二十億人が感染する恐れがあるとみている。途上国で大流行の可能性

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