バチカン市内で中国人信者との写真撮影に応じるフランシスコ・ローマ教皇(2018年4月18日) (C)EPA=時事

 

 中国のカトリック教徒は約1200万人ともいわれる。巨大な中国では総人口の1%にも満たないが、かなりの人数ともいえる。そのカトリック教徒たちが固唾をのんで注目した出来事が4月以降に相次いだ。

 一つは、長年空席となっていた上海教区トップである司教の任命であり、もう一つはそれに続いて香港教区の周守仁司教が北京を訪れたことだ。いずれも習近平政権が掲げる「宗教の中国化」に向けた一歩であり、中国とバチカン(ローマ教皇庁)との関係の変化も示唆する。共産党政権の迫害を受ける教徒にとっては、さらなる受難を予感させる出来事でもある。

バチカンからの「自主独立」を追求

 上海教区は4月4日、中国政府公認の「中国天主教愛国会」副主席の沈斌氏(53)が司教に就任したと発表した。沈氏は、宗教界の代表の一人として、国政助言機関である人民政治協商会議(協商)の常務委員も務める。かなりの政府寄りの人物だ。上海教区のウェブサイトによると、4月4日の就任式には教区のすべての神父と修道女計約200人が参加し、沈氏は「国を愛し、教えを愛する上海教区の良き伝統を引き続き発揚し、『独立自主』の原則と、カトリックの中国化の方向を堅持する」と述べた。この言葉からも、沈氏が政府寄りであることは明白だ。

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