スリランカ政府は先ごろ、少数派タミル人の反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」に対する全面勝利を宣言したが、勝利の大きな要因は中国の軍事支援との見方が有力だ。 スウェーデンにあるストックホルム国際平和研究所によると、中国は昨年、スリランカにF7戦闘機六機を無償で提供したという。在スリランカの外交筋は「ラジャパクサ大統領(スリランカ)がLTTE掃討作戦のために、中国に直接、提供を要請した」と述べる。スリランカ空軍は二〇〇七年のLTTEの大規模攻撃によって戦闘機十機を失い、新たな戦闘機を必要としていたという。 同外交筋によれば、中国はラジャパクサ大統領の親族が経営する「ランカ・ロジスティックス・アンド・テクノロジー社」を通じ、スリランカ政府軍向けに大量の武器弾薬やレーダーも供与した。 中国がスリランカへの軍事支援を強化したのは〇七年ごろからとされるが、中国政府はちょうどこの時期から、スリランカ南部の町ハンバントタで、十数億ドルを投じて港湾建設に着手している。名目はスリランカへの経済支援だが、軍事アナリストの多くは、中国がインド洋進出を目指しており、自国海軍の燃料補給・ドック施設としてこの港を使用するだろうとみている。

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