インドネシアの汚職撲滅委員会(KPK)がこのほど、二〇〇四年の中央銀行上級副総裁選挙に関連した贈収賄事件の捜査を再開することを発表、主要政党の国会議員らを容疑者に認定し、本格的な事情聴取に乗り出した。 しかし、容疑者として指名された議員が闘争民主党(PDIP)や開発統一党(PPP)、ゴルカル党と、七月八日実施予定の大統領選挙で現職のユドヨノ大統領(民主党)に挑戦する対立候補者の所属政党ばかりに集中していることから、「ユドヨノ大統領の指示による政治的捜査再開だ」との批判が噴出している。 四月九日に行なわれた総選挙で、ユドヨノ大統領率いる民主党は第一党となり、ゴルカル党は第二党、PDIPは第三党へと後退した。大統領選でもユドヨノの再選は確実とみられるものの、ゴルカル党のカラ副大統領、PDIPのメガワティ前大統領が対立候補として出馬している。 この汚職事件は、当時の副総裁選で多額の現金が国会議員に渡されたとしてKPKが捜査を開始したものだが、十分な証拠がないことを理由に捜査が中断されていただけに、この時期の再開は、憶測を呼ぶ結果となった。 今回の捜査再開の背景には、中銀幹部と政治家の癒着を捜査で浮き彫りにする過程で、反ユドヨノの政治的動きを牽制するという捜査当局の意向が働いていることは確実とみられている。ゴルカル党、PDIPからは「そこまでして大統領に再選されたいのか」とユドヨノ批判が高まっている。

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