「パーサヴィアランス」が撮影した「自撮り写真」[2021年9月10日、火星](C)Reuters

[ワシントン発(ロイター)]生命の可能性を示す有機物。今、有機物が火星に豊富に存在すると示唆する根拠が蓄積してきている。NASA(米航空宇宙局)の探査機「Perseverance(パーサヴィアランス)」の最新調査では、かつて湖が存在した場所の岩石から、多様な有機分子の存在を示す証拠が見つかった。この発見を報告した論文は7月12日、学術誌「Nature」に掲載された。

 今回のデータは、探査機のロボットアームに搭載された「SHERLOC」という機器によって得られたもの。SHERLOCは有機分子の詳細なマッピングや分析を可能にする。火星のクレーター「ジェゼロ」の底の2つの地形の中にある、計10カ所の地点から集められた。

 研究チームは、複数の岩石のサンプルから有機分子の存在を示す根拠を得た。一部は、将来的に分析を進めるため地球に持ち帰る可能性がある。

 研究チームは、有機分子は火星の過去または現在に生命があることを確証づけるものではなく、生命活動とは関係のないプロセスにより生成された可能性が高いと言う。筆頭著者のNASAジェット推進研究所の宇宙生物学者Sunanda Sharma氏は、「有機分子は私たちが知るところの生命を作り上げる基本構成要素ですが、直接生命とは関係のない地質学的プロセスからも生成されます。クレーターの底の地形や関連する鉱物ごとに、異なる有機化合物のシグナルを感知しました」と語った。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。