各国政府・企業と日本企業との間で50本以上の覚書が結ばれた[岸田首相を歓迎するサウジのムハンマド皇太子=2023年7月16日、サウジアラビア・ジェッダ](C)AFP=時事/SPA

 リトアニアで開催されたNATO(北大西洋条約機構)首脳会合に出席した岸田文雄首相は、その帰路にてサウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、カタールの3カ国を7月16日から18日にかけて訪問した。日本の首相によるサウジ、UAE訪問は3年半ぶり、カタール訪問は10年ぶりとなる。

 驚くべきことに、日本の首相による中東訪問は、通算で9年近く在任していた安倍晋三首相を除くと2006年の小泉純一郎首相以来のことである。安倍首相が中東へ外遊したのは10回、延べ訪問国数は26カ国(そのうちUAEが4回で最多訪問)。この16年間、中東における日本の首脳外交は安倍カラーに染められたものであり、それ以外のものを見ることはかなわなかった。

安倍政権期の中東外交とは異なるスタンス

 今回の岸田首相の訪問の概要は外務省のホームページにて総花的にまとめられているが、特筆すべきことは以下の2点に集約されている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。