保守派保護者団体「自由のための母たち」は、デサンティス・フロリダ州知事を「親のための知事」と呼ぶ[「自由のための母たち」が開催した「親の権利(parental rights)サミット」でスピーチするデサンティス氏=2023年6月30日、ペンシルベニア州フィラデルフィア]

3. 州レベルでも脅かされる若者の自由

■禁書運動で「アンネの日記」も対象に

 いま、州レベルでも多くの地域で若者の思想や表現の自由を深刻に脅かす問題が浮上している。子どもにとって「有害」とされた図書を公立学校や図書館から撤去する動きが全米各地で活発化しているのだ。非営利団体ペン・アメリカの調査によれば、2021年7月から2022年6月にかけて、32州の138の学校区で1648冊の本が規制対象となり、読めなくなった18。「アンネの日記」やノーベル文学賞作家のトニ・モリスンの「青い眼がほしい」なども対象とされた。性の目覚めや、父親による性的暴行のシーン等が問題視されたためだ。

 この禁書の動きも、前編でも紹介した、保守的な州で広まるLGBTQ差別の動きと連動している。ペン・アメリカが禁書となった1648冊の内容を調査したところによると、最も多かったのは、主要登場人物やテーマがLGBTQ関連の図書だった。保護者から、「子どもたちの性自認に混乱をもたらす」といった抗議が寄せられたためだ。

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