上海にある中国不動産開発大手、中国恒大集団のビル (C)AFP=時事

 

 中国経済の停滞が長引いている。今年初から春先にかけては、ゼロコロナ政策の解除を受けた感染急拡大が一巡、経済活動が急速に活発化、急回復を見せていたが、4月以降は完全に失速している。実質GDP(国内総生産)成長率は、今年1~3月期の前年同期比+4.5%から4~6月期は+6.3%に伸びを高め、一見すると成長が加速したようであるが、前年の同じ期との比較だと昨年4~5月に上海ロックダウンで景気が冷え込んだ反動で嵩上げされており、実態は前期比の成長率が示す通り、1~3月期の+2.2%から4~6月期は+0.8%へ減速、年間の成長率に換算すると+9.1%もの急回復から+3.2%へ急減速している。

 毎月の景気動向を示す代表的な指標である製造業PMIで見ても、1月50.1、2月52.6、3月51.9と好不調の境目である50を超えていたが、4月は49.2、5月48.8、6月49.0、7月49.3と4か月連続で50を下回っており、やはり景気の状態は芳しくない。

デリスキングの動きが輸出の回復を阻害

 4月以降の景気が停滞している主な要因を挙げると、①輸出の減少、②不動産市場の低迷、③個人消費の回復力欠如、④過剰債務問題の4点である。輸出は、5月に前年同月比でマイナスに転じ、6月、7月とマイナス幅を拡大させている。不動産市場は、春先にかけて持ち直していた不動産価格が再び下落に転じ、不動産投資の減少も続いている。個人消費は、小売販売が減速、特に自動車や宝飾品、化粧品、衣服など選択的な性格の強いもので増勢が鈍っており、マインドの悪化が示唆されている。過剰債務の問題は、政府が思い切った支出の拡大による景気テコ入れを控えていることが、その端的な悪影響であろう。今後を展望しても、以下に詳述する通り、これら4要因のいずれも改善に時間を要する問題を抱えており、コロナ明けの中国経済は前途多難の状況にある。

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