それでも外需にすがる日本の危うさ

執筆者:石山新平2009年7月号

政府が発表した「アジア版ニューディール政策」。アジアからのウケがいまいちなのは、従来型の発想から抜け出せていないからだ。 今度こそ日本はヒーローとなり、アジアの首脳たちから喝采を浴びることになる――。麻生太郎首相と取り巻きの官邸のスタッフは、その日を待ち望んでいた。 四月十二日、タイのパタヤで予定されていた東アジアサミット(首脳会議)。麻生首相自らが、世界の経済金融危機で打撃を受けたアジア諸国への「貢献策」を大々的に打ち出すことになっていたのだ。もはや世界経済のエンジンは「アジア」しかない。そのアジア経済へのテコ入れは、世界経済復興のカギであり、日本の貢献は世界から高く評価されるはずだ――。首相周辺はそんな思惑を抱いていた。 ところがシナリオは大きく狂う。タイ政府に反旗を掲げた市民が首脳会議の会議場を占拠。一連の会議は取りやめになってしまったのだ。パタヤに集まっていた報道陣に準備してきた貢献策を発表したものの、雨空に花火を打ち上げたようなもの。首相周辺が思い描いていたように、世界のメディアに華々しく取り上げられることはなかった。成長の“お裾分け”をもらう この貢献策「アジア経済倍増に向けた成長構想」は、麻生政権発足以来、経済産業省が世界経済危機への日本の「切り札」として麻生首相に売り込んでいたものだ。内部の関係者の間では当初、「アジア版ニューディール政策」と呼ばれていた。

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