エクアドルではヤスニ国立公園内にある石油開発区域について、政府は原油を「永久に地下に維持する」かを問う国民投票が行われ、賛成が59%に達した[ヤスニ国立公園内、国営石油会社ペトロエクアドルの石油採掘基地=2023年6月21日、エクアドル北東部](C)AFP=時事

 

資源ナショナリズムとは何か

 天然資源を自ら開発し加工する技術を持たない国にとって、資源の輸出は自国に収入をもたらすと同時に、価値ある資源を外国に売り渡す意味合いも持つ。こうした国では、資源開発の許可を外国の民間企業に与えることが多いが、政府に支払う鉱区のレンタル料など企業に課す負担の水準をめぐって、負担を上げて利益を取るか、あるいは下げて参入を促すか、その程度が問われる。この負担に関する考え方が極端になり、企業の納税水準を大きく引き上げる、企業が持つ資産を政府が接収するなど、輸出国による資源管理の強化を求める主張が生じることがある。これが資源ナショナリズムである。

 近年の資源ナショナリズムに関する研究では興味深い指摘がなされている。例えば、資源ナショナリズムは外国企業を受け入れる国が常に抱える政治イデオロギーではなく、その国で重要とされる資源の国際価格が上昇すると、それを引き金に高まる傾向があることが分かってきた1。一方、資源ナショナリズムには国家や国民が一体となって資源を自ら開発しようする姿勢が前提にあるが、そうした一体性を想定することへの疑問も出されている2

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