中国政府は四月下旬、情報技術(IT)セキュリティ製品の秘密情報である「ソースコード」を外国企業に強制的に開示させる制度を二〇一〇年五月から実施すると発表した。当初は今年五月から実施する方針だったが、日本や欧米企業から「重要な情報が流出する恐れがある」という反発を受け一年延期。制度の適用範囲も中国で製造・販売する全製品ではなく政府調達品に限定した。 ソースコードの開示の対象は、インターネットのファイアウォール(安全隔壁)など十三品目だが、セキュリティ製品を搭載する製品も対象になる見込み。ソフト開発企業だけでなく、大手電機や自動車メーカーも対応を迫られている。デジタル家電はもちろん、最近の高級車などはキーの所有者が本人かどうかを確認する仕組みを導入しているため、こうした先端製品も開示の対象になる可能性があるのだ。 中国政府は強制開示を「国内におけるIT製品の安全性確保が目的」と説明するが、本音は海外の先端技術を盗み見することなのは明らか。中国は周回遅れで、日本や欧米の技術を学んでいるレベルだ。日本の業界関係者は「ソースコードの開発には数年かかる。中国のIT専門家がソースコードを見れば、日本や欧米の技術に一気に追いつくことができる」と解説する。

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