その数日前、番記者との懇談で、「西川(善文・日本郵政社長)のクビに乾杯。西川を続投させるかどうかは、麻生首相が判断するのではなく、俺が判断するんだ」と豪語していた鳩山邦夫総務相が六月十二日、ついに辞任した。自民党の支持率はこれでさらに降下。だが、党内の苛立ちの矛先が向かっているのは、鳩山氏ではない。決断できない男・麻生太郎首相にである。 衆議院選挙を控え、この問題の長期化による政権へのダメージを懸念する与党内からは、早期解決に向け、麻生首相が指導力を発揮しないことへの批判が日増しに高まっていた。 六月九日には、自民党六役の一人である、谷川秀善参議院幹事長が記者会見で、「尻に火がついているのに消さない。かちかち山のタヌキじゃあるまいし」と麻生首相を痛烈に批判。十一日には、党最大派閥の会長である町村信孝前官房長官が「解決が一日、一時間延びれば、その分だけ自民党の支持が落ちる」と述べた。 十二日午前十一時。こうした党内の反発を受け、麻生首相はやっと重い腰をあげ、首相官邸に鳩山大臣を呼んだ。誰もが、「鳩山更迭」と思った。しかし麻生首相は決断できず、「妥協案で納得してくれないか」と持ちかけたが鳩山氏は拒否。そして、午後二時からの再会談で、鳩山氏は、麻生首相の対応に納得できないと辞任したのである。

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