外来は感染症科の医師が、入院は呼吸器内科の医師が対応した[エボラウイルス感染症など1類感染症に対応できる病床=2020年3月12日、国際医療福祉大学成田病院](C)時事

 

4月1日に開院予定だった新たな大学病院

 2020年2月。すでに国内での新型コロナ感染者の報告が相次ぐ中で、社会の関心は日ごとに高まっていた。その頃、私や大学の関係者は4月1日に予定された国際医療福祉大学成田病院の開院に向けて準備に追われていた。すでに病院の職員として内定していた人は多くいたが、その時点ではまだ他の大学や病院に所属している人たちが大半であり、顔見知りはほとんどいない。準備会議の段階では誰がどのような立場の人なのかもわからないまま話し合いが続く異様な雰囲気であった。

 その一方で、新病院は着実に建設が進められていた。もともとこの病院は成田空港に最も近い大学病院として、海外から来る可能性のあるさまざまな感染症の患者に対応することが求められていた。幸い私は病院の設計の段階から関わっていたため、感染症専用の病棟や外来についてはこちらの要望を入れてもらうことができた。エボラ出血熱のような1類感染症にも対応できる第1種病棟も新たに設置された。

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