地域大国エチオピアで続く日本の人的「空白」

執筆者:篠田英朗2024年1月11日
ティグレ地方の険しい高地。TPLFはこの地形を活かして、ゲリラ戦に持ち込んだ

 アフリカ連合(AU)の本部は、東アフリカの地域大国エチオピアの首都アディスアベバに置かれている。GDP(国内総生産)や人口でエチオピアを上回る国は、アフリカにも他にある。しかし欧州列強の植民地化をはねのけたエチオピア帝国の誇り高い歴史を持ち、アフリカ大陸中央部に近い東部沿岸の地理的立場の優位は、エチオピアに独特の事情だ。

 アフリカの玄関口としての立場を意識したエチオピア航空の路線の充実からは、筆者も恩恵を受けている。数十年前であれば、アフリカ大陸の中で別の国に移動する際に、中東あるいは欧州を経由したほうがかえって早い、といった場合が多々あった。現在は、相互の直通便が充実してきている。特にアディスアベバを起点にした大陸内外の主要ルートを網羅するエチオピア航空の存在は大きい。

「アフリカの政治首都」と呼ばれることさえあるアディスアベバは、アフリカ大陸において特別な性格を持つ大都市だ。アディスアベバの人口は現在400万人弱程度だが(エチオピア全体の人口は1億2380万人)、アフリカ全域の急激な人口増加と都市化を象徴する町になっており、2100年までにアディスアベバは現在の10倍近い3500万人以上の人口を擁する世界有数の大都市になると予測されている。

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