現在93歳の王治全は13歳で人民解放軍に入隊した。朝鮮戦争で捕虜となって台湾に送られ、その後金門砲戦に従軍した[退役軍人ホーム「桃園栄誉国民之家」の自室でカメラに向かう=2023年10月27日](C)REUTERS/Ann Wang

[台湾・桃園発・ロイター]孫国喜は、国共内戦末期の混乱を今なお鮮明に覚えている。孫が所属していた国民党政府軍は毛沢東が率いる共産党軍の前に壊滅し、彼は1949年、ボートを駆った8日間の危険な海路で台湾に逃れることを余儀なくされた。

「船着き場がなかったから、みんなで水しぶきを跳ね上げながら上陸した」台湾北部の桃園市にある国営の退役軍人介護施設で、110歳になる孫は語った。

「若い人にこんな話をしても、あの時代を経験していない連中は昔ばなしかと耳を貸さない。気にも留めない」孫は、中国との戦争を経験した台湾最後の世代のひとりでもある。

桃園退役軍人ホームを訪れた孫娘が肉の煮込み料理を食べるのを見守る孫国喜[2023年11月6日](C)Reuters/Ann Wang
国民党の党員証を手にする孫国喜。1940年に入党した[2023年11月6日](C)Reuters/Ann Wang
1937年の盧溝橋事件に従軍して与えられた勲章[2023年11月6日](C)Reuters/Ann Wang

 戦いに敗れた中華民国政府は70年以上前に台湾へと逃れ、存続こそしているものの、中華人民共和国との戦争に終止符を打つ講和条約は今でも結ばれておらず、どちらの政府も相手を承認していない。

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