南スーダンは世界最貧国の一つだが、人口増大による活気にあふれた国でもある

 日本の自衛隊は2011年から2017年まで、南スーダンに展開した国連PKOのUNMISS(国連南スーダン・ミッション)に、施設大隊を中心とした400人規模の部隊を派遣していた。しかし最後には、南スーダンの厳しい治安環境で必要となる活動の準備が、日本の法制度あるいは国会の文化に合致せず、撤収した。2015年に平和安全法制が導入され、自衛隊は国連PKOでいわゆる「駆けつけ警護」が可能となったとされた。だがそれでも結局は、現場との乖離は解決できなかった。そもそも「駆けつけ警護」というのは、日本社会が独自に開発した概念で、国際的な法制度との整合性がなく、国連PKOについて言えば、平和安保法制の効果は、不明瞭なものでしかなかった。

 そういった経緯があり、過去6年間、国際平和活動への自衛隊の部隊派遣はなされていない。派遣の検討も具体的には何もなされていない。自衛隊の海外派遣そのものに反対していた左派系の人々だけが、「政府はすぐにまたどこかに自衛隊を送るに決まっている」と息巻いていた。しかし、われわれ事情を知る者は、かなり絶望的な気持ちだった。少なくとも近い将来に、自衛隊の国際平和活動への部隊派遣はない、と言える。

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