スダニ政権への政治的圧力を和らげ、多国籍軍に対する攻撃を抑止する効果が期待されている[エジプト、ヨルダンとの3カ国外相会談に臨むイラクのフセイン外相=2023年8月15日、エジプト・カイロ](C)REUTERS/Amr Abdallah Dalsh]

[バグダッド発/ロイター]交渉開始にあたっては、イランの支援を受けたイラク民兵組織がアメリカに対する攻撃を止めるという前提条件をなくしたとされる。これについてイラク外務省は、「重要な」手紙を受け取り首相が検討すると明らかにしたが、それ以上の説明はない。少なくとも数カ月かかると見られる協議の行方は定かではなく、すぐに米軍撤退が行われるわけではない。

 アメリカは現在イラクに2500人の部隊を駐留させ、イスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」の復活を防ぐため、イラク軍に助言と支援を与えている。アメリカ主導の多国籍部隊には、欧州からを中心に何百人もの兵士が参加し、現在もイラクに駐留している。イスラム国は2014年にイラクとシリアを広範に支配したが2017年には支配地域を失った。

 イランとアメリカ双方と友好関係を持つイラクにとって、昨年10月にガザ戦争が起きて以来、この多国籍部隊は頭痛の種になってきた。アメリカのイスラエル支援に圧力をかけたいイスラム過激派と米軍の武力の応酬がエスカレートしたからだ。これまでにイラクとシリアに駐留する米軍は、イランと連携するイラクの民兵組織から約150回の攻撃を受け、一連の報復攻撃を行っている。こうした状況を受け、イラクのムハンマド・シヤーア・スダニ首相は、交渉によって多国籍部隊が速やかに撤収することを求めた。

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