「民主党政権」にアメリカが抱く「三つの疑問」

執筆者:マイケル・グリーン2009年8月号

[ワシントン発]自民党にとって見通しは明るくない。ただし、何が起きるかわからないのが政治だ。過去の例をみると、参議院議員選挙で地滑り的勝利を収めた野党は、続く衆議院議員選挙で大敗することが多かった。七月十二日に行なわれた東京都議会議員選挙でも民主党は初めて第一党となる大きな勝利を手にしたが、まだこの先、スキャンダルで躓くことがあるかもしれないし、ひょっとしたら自民党が麻生太郎首相の絶妙のパフォーマンスで息を吹き返すこともあるかもしれない。 とはいえ、ワシントンではすでに次の総選挙で野党側が勝利して民主党主導の政府ができる可能性(確実性、でないならば)が話題になっている。 むろん、民主党政権ができれば、オバマ政権は自信に満ちた態度で、米日同盟が確かなものであることに変わりはないとコメントするだろう。実際、オバマ政権は日本重視の姿勢を明確にしてきた。ヒラリー・クリントン国務長官は、日本はアメリカのアジア戦略における「コーナーストーン(要石)」であると宣言し、就任後初の公式訪問国に日本を選んだ。バラク・オバマ大統領がホワイトハウスに真っ先に招いた外国首脳も麻生首相だった。 これらは麻生首相や自民党に対する厚意でもなければ、日本に対する親愛の情からでもない。気候変動から北朝鮮問題に至るまで、山積する難題に関して中国と渡り合って行く上で、アメリカがアジアにおける影響力を増大させておく必要性から計算し尽くされた戦略の一環なのである。日本の政権が米日同盟を堅持する限り、アメリカの姿勢に何ら変更はない。

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