「スペインに到着する筏を見るのは、とてもつらいことだ。自分が何と向き合っているのか知らずに海を渡るのは、死に直面することを意味している」[サリダル号で漁網を巻き上げるディウフ=2023年12月11日、スペイン・ガリシア州ブレーラ近郊のカンタブリア海](C)REUTERS/Nacho Doce

[ブレーラ発/ロイター通信]カナリア諸島に到着したセネガル人の移民のニュースを見ていると、バブー・ディウフには、17年前に彼が経験した危険な旅と、新天地となったスペインの北海岸の街、ブレーラまでの苦難の道のりが思い出される。

 セネガルのサルーム・デルタにあるバスールで漁師をしていた46歳のディウフは、2006年に西アフリカからスペインのカナリア諸島を経由して押し寄せた移民の一人だ。カナリア諸島は、アフリカ北西海岸の沖合約100キロ(60マイル)に位置している。

漁を終え網を整えるディウフ、インドネシア出身のトニー(39歳)、スペイン出身のエドゥアルド・ガルシア(49歳)、セネガル出身のママドゥ・サル(38歳)[2023年11月24日、ブレーラ近郊のカンタブリア海](C)REUTERS/Nacho Doce
漁に出発する前のサリダル号の船床に置かれた網[2023年11月24日、スペイン・ガリシア州セデイラ近郊](C)REUTERS/Nacho Doce

 この年、3万人以上の移民が貧困を逃れて出国した。貧困深刻化の背景には、EU(欧州連合)諸国の高度に産業化された漁業の影響もあると、学者やNGO、移民たちは指摘する。沿岸の水産資源が激減したのだ。

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