大統領府はザルジニー氏の名を冠した慈善基金団体が政党へ発展する可能性を懸念したとも伝えられる[ザルジニー氏を支持する集会で同氏の写真を手にする女性たち=2024年2月9日、ウクライナ・キーウの独立広場](C)EPA=時事

 2月8日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍総司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍を解任し、陸軍司令官であったオレクサンドル・シルスキー将軍を新たな総司令官に任じた。ザルジニーには「ウクライナ英雄」勲章が授与されたものの、国民からの人気が非常に高い同将軍の解任と、知名度は低いがゼレンスキーから気に入られているとされるシルスキーの最高司令官への就任については、ゼレンスキーとその周辺による政治的思惑に関する憶測や推測を呼んだ。その後3月7日、ゼレンスキーはザルジニーの駐英大使任命の意向を発表した。

 以前から不仲が噂されていたゼレンスキーとザルジニーの関係性は、苗字の頭文字が同じことから「『ゼ』と『ザ』」や「ふたりのZ」と称され国内外から注目を集めていた。本稿では、ロシアによるウクライナ全面侵攻から2年を前に行われたこの一大人事の経緯とこれに対する反応についてまとめたい。

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