「知性、冷静さ、冷徹な決断力、現実主義、スター性」を兼ね備えた女性とも評されるユリア・ナワリナヤ氏[2024年2月28日、仏ストラスブールの欧州議会にて](C)EPA=時事

 ロシアの反体制指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が2月16日に北極圏の刑務所で急死した後、ユリア夫人(47)は「夫の遺志を継ぐ」と反プーチン運動の先頭に立つ意向を表明した。

「普通の主婦」を標榜していたユリア氏は次第に夫の活動を支援するようになり、「ロシア野党のファーストレディー」と呼ばれた。しかし、亡命生活での活動は容易ではなく、5選を決めた鉄壁のプーチン体制は揺るぎそうもない。

 とはいえ、男性活動家が次々投獄される中、今後は女性が反プーチン運動の中核を担う可能性がある。人口比で男性より圧倒的に多いロシアの女性が、独裁体制に風穴を開けられるかが注目点だ。

「普通の主婦」が大統領に

 普通の主婦が夫の弔い合戦に勝利して政権を奪取した例は、1980年代のフィリピンでフェルディナンド・マルコス大統領の独裁体制を倒したコラソン・アキノ元大統領が知られる。

 1983年8月、野党指導者だったベニグノ・アキノ元上院議員が帰国直後、マニラ国際空港の滑走路で軍幹部に銃殺されると、コラソン氏は亡命先の米ボストンから5人の子供を連れて帰国した。

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