3月25日と26日、金与正朝鮮労働党中央委員会副部長が二日連続で日本に関する談話を発表した[金与正氏=2019年3月2日、ベトナム・ハノイ](C)AFP=時事
 

 北朝鮮から日本へのメッセージが相次ぐ異例の1週間となった。3月25日、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会副部長が2月15日以来2度目となる日本向けの談話を発表した。今回も日本に「政治的決断」を迫るものであり、「主権的権利」という言葉が3回も繰り返された。「主権的権利」は、昨年から偵察衛星打ち上げに伴って用いられるようになった用語であり、日本が防衛力強化を図るなか、北朝鮮が兵器開発を進めることも当然の権利であり、それに口出しするのは内政干渉だ、という立場を示すものである。

 金与正談話は翌26日にも発信され、「日本側とのいかなる接触も交渉も無視し、拒否するであろう。朝日首脳会談は、わが方にとって関心事ではない」と結ばれた。これだけでは、首脳会談の可能性を閉ざす宣言なのか、岸田政権に大きな譲歩を迫る駆け引きの一環なのか判断しづらいものであったが、日本に不満を募らせているのは確実である。1月には金正恩が能登半島地震に際して見舞い電を送り、2月には金与正が融和的な談話を出したにもかかわらず、日本側には何ら変化が見られないと判断していることになる。

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