トランプ政権復活を視野に入れ、日本企業はASEANで「強者の戦略」継続を優先せよ
2024年4月30日

タイでは2020年から2023年の間に、中国車が3.6%から10.9%へシェアを伸ばした[バンコク国際モーターショーに出展された中国のEVメーカーBYDの車=2024年3月27日](C)AFP=時事
今年11月5日に予定されている米国大統領選は、ジョー・バイデン現大統領とドナルド・トランプ前大統領との争いが確実となり、トランプ氏の優勢を示す世論調査も少なくない。仮にトランプ大統領が復活すれば、国際情勢に大きな変化が起きることは間違いなさそうである。
現時点までにトランプ氏が明言しているものだけでも、中国からの輸入品に対する一律60%の関税やインド太平洋経済枠組み(IPEF)の破棄のほか、気候変動対策枠組みパリ協定からの再離脱、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対する軍事費負担の増額要求、さらにはNATO離脱を検討する可能性までも指摘される。そのほか、ウクライナ領土のロシアへの割譲による停戦案を語るなど、多方面で現バイデン政権と大きく異なる方向性が示されている。
これらを本当に実行すれば、中国は反発を強め、多くの同盟国や有志国が米国と距離を置かざるを得なくなろう。特にグリーン政策やウクライナ支援を重要課題とする欧州と米国との関係は、前回のトランプ政権時と同様に冷え切ってしまう可能性が高い。そうなれば、経済安全保障の強化という大義名分の下、G7諸国を中心に形成してきた事実上の中国包囲網は崩壊し、中国はその間隙を縫って、まずは欧州諸国への接近を図るのではないか。
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