不足は年間4万人、米軍リクルート危機の背景に「国民の信頼低下」と「政治利用」
2024年5月1日

米国民の軍に対する信頼は依然として高いが、その度合いは減少傾向にある[ヨルダンでドローン攻撃を受け死亡した同僚の棺を運ぶ米兵たち=2024年2月2日、米デラウェアのドーバー空軍基地にて](C)EPA=時事
米国において軍のリクルート危機が大きな問題となっている。2023年度(米会計年度、以下同じ)において新規採用目標数を達成できたのは海兵隊と創設5年目の宇宙軍だけであった。その他の軍種はほぼ全ての区分で採用目標数を達成できず、ここ数年、厳しいリクルート状況が続いている。
2024年度の国防授権法においては、米軍の最終兵力レベルである現役兵の数が128万4500人に縮小するとの見通しが示されている。過去3年で約6万5000人も減少しており、第二次世界大戦参戦前の兵力規模を下回る見込みであることを懸念する報道がある。ロシアのウクライナ侵略の継続やイスラエルとハマスの紛争に伴う中東情勢の不安定化に加えて、核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮や武力による台湾統一を放棄せず既存秩序に挑戦し続ける中国など、厳しさを増す国際安全保障環境等を背景として、米軍のリクルート危機に対する関心が高まっている。また、米国においては1973年に徴兵制が撤廃され、現在の全志願兵制(All-Volunteer Forces System、以降は「志願制」と言う)に移行して50年の節目を迎えたこともあって、米軍のリクルート危機により一層の脚光が当たっている。
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