日本が領有権を主張している東シナ海の尖閣諸島周辺での警戒監視活動を続ける海上保安庁が五月一日から、同諸島周辺の日本領海で操業する外国漁船に対する新たな取り締まりを始めていたことが明らかになった。 尖閣諸島を巡っては中国、台湾などが領有権を主張、違法操業の漁船などが「領海侵入」を繰り返していた。新たな取り締まりでは、領海内での違法操業を発見し、悪質な外国漁船を検挙するというこれまでにない強硬措置だ。悪質な漁船というのは、過去に警告を二回受けた漁船などで、海保はこれまでに警告を発した漁船のデータを持っており、これに基づいて検挙に踏み切るという。 この強硬措置は、昨年来、議論が交わされてきたが、外交関係を重視する外務省と強硬措置やむなしとする海保と国土交通省、水産庁、防衛省などで調整が進んでいなかった。ところが昨年十二月に中国の調査船が尖閣諸島周辺を領海侵犯したことを受け、政治判断で強硬措置の実施が決まったという。 しかし、五月一日以降、尖閣諸島周辺には台湾、中国漁船は全く姿を現しておらず、海保では「こちらの方針変更が先方に伝わり、抑止効果となっているようだ」とみている。

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