「イエスかノー」での回答を迫る共和党議員の戦術にはまり、辞職に追い込まれたハーバード大学のゲイ学長(当時)[米下院公聴会にて=2023年12月5日](C)EPA=時事

 昨年10月以来続いていた全米大学での反イスラエル抗議行動は、5月の卒業シーズンを終えて峠を越えた様相を呈している。このまま終息するのか、再燃するかは予断を許さない。再燃しなくても、すでに再選をめざすジョー・バイデン大統領には民主党支持層分断のリスクが付きまとう。

 大学紛争の60年代から半世紀たった今何故、全米でまた欧州で、若者の反乱が広がったのか。その引き金になったのは何か、考えてみたい。

 10月7日のハマスによるイスラエルでの音楽フェスティバル襲撃事件は、明らかにテロ的奇襲攻撃だった。一日で少なくとも1100人の民間人を殺害し、250人以上の人質が取られた。その日のうちにイスラエルは報復を開始。その「10倍返し」ともいえる軍事行動に、当初のイスラエルへの同情と連帯感は見る見るうちに、当惑と抗議の声に変わっていった。

「大学トップの責任を追及」するための公聴会

 最初の反応は、10月7日のうちに始まった。「ハーバード学部生パレスチナ連帯委員会」が他の33団体との連名で声明を発表。

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