「アジア最大求人サイト」が見た日本

執筆者:出井康博2009年8月号

「トヨタは、売上では世界ナンバーワンの自動車メーカーです。しかし、役員に外国人が一人もいないようでは、真の意味で“グローバル企業”とは呼べません」 そう語るのは、アジア最大の求人情報サイト「ジョブストリート」創業者で最高経営責任者(CEO)を務める中国系マレーシア人、マーク・チャン氏(四三)だ。 一九九五年にマレーシアで設立されたジョブストリートは、東南アジアを中心に九カ国で事業を展開。日本にも二〇〇七年に進出した。 ジョブストリートには、八万社にも及ぶ企業から求人広告が集まる。それらはインターネット上で公開され、求職者はサイトに登録したうえで応募する仕組みだ。登録者は、インド人の二百二十万人を筆頭に約六百万人に上っていて、そのうち八割以上が大卒、約百万人が大学院卒以上と高学歴の人が多い。優秀な海外の人材を求める企業にとっては、まさに“宝の山”と言えよう。 チャン氏の口調は常に穏やかで、外見も起業家というよりは研究者のようだ。ただし、日本企業に対する見方は厳しい。「優秀な人材ほど、英語で仕事ができ国籍によって差別されないグローバル企業を目指す傾向が強い。そうした日本企業は、まだまだ限られるのではないでしょうか」

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